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面接室のご紹介

さとう成育心理面接室のご紹介

さとう成育心理面接室のご紹介

発達の問題を中心とした障害、慢性疾患を長期にお付き合いさせていただく面接室として成育心理面接室と名付けました。

さとう成育心理面接室のご紹介

医療機関に通院されている方・公的相談機関で援助を受けている方は成人後もこころの相談ができるのだろうかと不安に思われたことはありませんか。さとう成育心理面接室は同じ担当者で成人後もお付き合いさせていただく面接室です。

また、発達の悩みを抱えながら働いている方や家庭生活を営まれているご本人やご家族の方はじっくりと相談されていますか。さとう成育心理面接室は病院臨床経験豊富な担当者が変わることなくお付き合いさせていただく面接室です。

自閉症スペクトラム(広汎性発達障害やアスペルガー症候群)、ADHD、LDなどの発達の障害は早期に発見をし、療育・特別な支援を受けることが大切なことです。加えてこころの悩みにもじっくり取り組むことも大切です。さとう成育心理面接室はこの、こころの悩みを中心にご本人と向き合っていきます。

また、長期に通院治療が必要な喘息をはじめとするアレルギー疾患などの慢性疾患を抱える方たちは多くの制限の中生活をしています。つらさや悲しみ・怒りが症状に影響することもあります。さとう成育心理面接室では、このつらさや悲しみ・怒りと向き合っていきます。

更に、お母さん・お父さんを始めとするご家族の方への援助はご本人への援助と共に大切なことです。一般的にはご本人へどのように対応したら良いのかという指導が援助の中心となりますが、さとう成育心理面接室では、お母さん・お父さんとしてよりも一人の人としてこころの悩みと向き合っていきます。これはご本人が成長するに従ってご両親は年を取っていく宿命の中で必要になる事です。

「働く」からみた発達障害

2022年現在、高校生を持つご両親が高校生の頃の大学進学率は、40%弱でした。今では56.6%と半数以上が大学に進学をしています。ご両親と同学年の仲間は全国に170万人いますが、今の高校生の仲間は99万人と100万人を切っています。子どもは減っていても、大学の数はご両親の頃には500弱だったのが今では807まで増えています。

発達障害を抱えて学校生活を送ってきた高校生も大学に進学をする方が多くなっています。
2021年現在、障害を持つ学生の割合は1.26%で、在籍学校割合は80.1%です。障害者手帳は「身体・知的・精神」の3種類あり、発達障害を抱えている方が精神保健手帳を持てるようになったのが平成23年からですのでその歴史は他の障害者手帳に比べると浅いです。

学童期までに医療機関を受診し診断を受け特別支援教育で様々な学習をされた方もいれば、「グレイゾーン」という曖昧な表現のまま過ごしている方もいらっしゃると思います。また、高校生・大学生・社会人の年齢になって医療機関の扉を初めて開ける方もいらっしゃると思います。更にご家族の方が心配をされていてもご本人は全く意に介せず生活をされている方、この方達が最も多数だと思います。

これからお伝えします「働く」からみた発達障害では、主にASD(自閉症スペクトラム)の方が「働く」を中心に進めていきます。当面接室では「働く」を意識しながら面接を重ね、ようやくアルバイトができるようになり、就職活動に動き出せるようになる方など「働く」の入り口に立てない方が多数いらっしゃいます。また、就職はしたものの離職し閉じこもりの生活からもういちど「働く」の入り口に立とうとしている方もいらっしゃいます。最初はご家族の方のご相談から始まり、ご本人への訪問面接を経てご本人が面接室まで来られるようになり「働く」入り口に立とうとしている方もいらっしゃいます。

目の前に「働く」が迫っている方、将来の「働く」に不安のある方、「働く」に苦しめられている方、そしてご家族の方、一度当面接室にご相談を下さい。信頼できる医療機関と連携をとりながら、じっくりとご相談を続ける事をお約束します。

◆とある千人規模の従業員が働くアパレルメーカーでは5年以上前から発達障害の方が働いています。発達障害の方を採用する決め手となる点は
・最低限の意思疎通が取れる
・働く意欲、向上心がある
・アドバイスを受け入れる勇気、素直さ
・時間・約束が守れる
・挨拶、「報・連・相」、謝る、ありがとうが言える
・医療的な支援が服薬で可能になる
を上げています。

採用して良かったと思った点は
・特定領域で高い能力を発揮できる
・黙々と誠実に仕事を続けてくれる
・まじめ
・無駄口がない
を上げています。

これからの課題として
・特異な行動・言動に対する周囲の理解
・或程度の柔軟性と企業社会への適応の可能性
・うたれ弱さ
を上げています。

◆また、とある千人規模の従業員が働くスーパーマーケットチェーンでは15年以上前から障害者雇用に積極的に取り組み、この数年は発達障害の方の割合が増えています。ここの採用基準としては、
・客が意識できる
・一人で安全に仕事ができる
・研修により上達が見込める
・体調が安定している
を上げています。

各店舗の工夫として
・ノルマはつけない
・休憩時間の工夫
・体調に合わせた職務
・話し合える環境作り
・被差別意識を持たせない工夫
・人事部・支援機関との連携
を上げています。

働く人への要求として
・体調が悪いときには連絡をしてほしい
・仕事がきつい・辛い時は報告してほしい
・対人関係で困った時は相談してほしい
・困ったこと。分からない時は話してほしい
を上げています。

「働く」からみた発達障害この2社で働いている方は手帳を持って就職している方です。障害者雇用促進法に基づき、50人以上の従業員を持つ会社は2.0%障害者を雇用しましょうというという事になっています。100人なら2人は雇用しましょう、もしできないなら月5万円/1人の納付金を納めて下さい。1人多く雇用された場合は月2.7万円の報奨金を出しましょうとなっています。ちなみに、2.0%は民間企業を対象にした数値で、国・地方公共団体では2.3%となっています。

ハローワークを経由して就職した発達障害の方のおよそ80%が手帳をお持ちの方です。手帳の取得時期は35%の方が1年以内の取得で、30%の方がハローワークに来てから取得された方です。取得してから5年以上経過している方は3%しかいません。先にお伝えしましたように学校教育では必要性があまりない手帳である事が数値の上でもよく分かります。手帳無しで就職された方も18%いらっしゃいます。就職後の在職率ですが、79%が在職されておりますが16%の方が離職されています。離職された方の多くは手帳をお持ちでない方でした。(障害者職業総合センターの調査結果)

先に例として上げました2社ですが、最初の会社にお勤めの方はスペクトラムの中心に近い方、2番目の会社はそれほど中心にいない方と捉えてよろしいと思います。ASDの方に適職とされるお仕事は

●細部への注意と正確さが要求される仕事・・・
データ入力
●定型的で反復性のある仕事・・・・・・・・・
ファイリング、仕分け
●数字や事実を扱う仕事・・・・・・・・・・・
会計
●明確な手順のある仕事・・・・・・・・・・・
郵便物受け取り、図書
●正誤の判断を伴う高度に構造化された仕事・・
IT、プログラミング

と、一般的には言われています。例1の会社がこれにあてはまります。ASDはスペクトラムと言われているようにこれらのお仕事が向く方もいれば例2のような必ずしも定型で反復性があるわけではなく、柔軟に対応する事を要求される仕事でも可能な方もいらっしゃいます。

実際にASDの方が働く職場でどのような事が問題となっているかを見てみましょう。ASDには
・社会性の困難性
・コミュニケーションの困難性
・こだわり
があると言われています。

「社会性」では、
・指示されているルールは守れるが、職場の暗黙のルールに混乱してしまう
・場の雰囲気を読むことが苦手で、適切でない返答をしてしまう
・注意を受けると、相手が自分を嫌っているように感じてしまう
・自己流で行動してしまう
・苦手な音や文字などの情報があると必要なことを選択しにくい
等があります。

このような困難性に対して職場ではどのような対応をしているのでしょうか。
・確実に守るべき指示は、図式化を活用して文章やメモで具体的に示す
・比喩や視線ではなく、直接的・具体的に説明したり質問する
・苦手な音や文字などを把握し落ち着いて集中できる環境を整える
等の対応をしています。

「コミュニケーション」では、
・上司や同僚など、人によって接し方を変えることが分かりにくい
・電話での応対がうまくいかない
・質問のタイミングがつかみにくい
・突然興奮したり、怒りだしたりする
等があります。

このような困難性に対して職場ではどのような対応をしているのでしょうか。
・それぞれの役割を明示し、接し方のモデルを示す
・あえて電話の応対は求めない
・サインに気づいたら、声かけをする
・落ち着ける環境を整え、平静を保つ
等の対応をしています。

「こだわり」では、
・優先順位が分からなくなる
・経験のないことに強い不安を抱く
・予定変更に強い不安を抱く

このような困難性に対して職場ではどのような対応をしているのでしょうか。
・手帳などを利用して、担当作業をするとアップさせる
・指示、例示、研修、確認などにより経験を積ませる
・作業時間、工程を予め確定する
等の対応をしています。

このような困難性とその対応は働こうとするご本人がどの程度「自覚」されているかが大切になります。
そこで、冒頭にお伝えしました『学童期までに医療機関を受診し診断を受け特別支援教育で様々な学習をされた方もいれば、「グレイゾーン」という曖昧な表現のまま過ごしている方もいらっしゃると思います。また、高校生・大学生・社会人の年齢になって医療機関の扉を初めて開ける方もいらっしゃると思います。更にご家族の方が心配をされていてもご本人は全く意に介せず生活をされている方、この方達が最も多数だと思います。』のどれに当てはまるのかが重要になります。

慢性疾患に心理面接が必要な理由

慢性疾患に心理面接が必要な理由喘息をはじめとする慢性疾患の方達が病院での心理相談ではなく、個人開設の心理相談に出向くメリットはあるのでしょうか?

ここでは一例として服薬や吸入等、日々の処置を「つい忘れてしまう」問題について触れてみます。

アレルギー疾患の方たちは、服薬をはじめとする毎日の処置を幼い頃から数年・十数年続けています。私が長期療養を目的とした病棟に関わり始めた30年前も今日も、日々の処置を確実に継続するにはどのような方策があるのか?というテーマはコンプライアンスやアドヒアランスという用語を用い治療目標の主たるものとなっています。

処置の大切さを診察時に説明されるだけでなく「○○教室」でしっかりと学習し、ご本人の病状にあった工夫された教材を用い、理解度を計るためのゲームを取り入れたチェックを受けます。これらを繰り返し受ける事により処置の流れを記憶し、実行に移し結果をノートに記載する事により振り返りができるようにします。うまくいっていればシール等で報酬を受ける事になります。これらの指導を病院では医師を中心としたスタッフがチームを組んで取り組んでいます。

では、個人開設の心理相談ではどうでしょう。連携をとることは可能ですが院内チームの一員となって指導する事は困難です。

何を相談をするのか?私たちは「主訴」といっています。この主訴をていねいにご本人やご家族の方と共有できるまでじっくりと時間をかけます。「飲み忘れちゃう」でも忘れても症状が急に悪化する訳ではないし、キチンと飲んでいても悪化する時もある。ご本人は何を忘れるのか、何を忘れたいのか。飲み忘れと飲まないは何が違うのか、次第にここが病院でなければ家庭でもない、学校でも職場でもない事が共有できると薬と全く違うものが立ち現れてきます。

主たる訴えは「飲み忘れちゃう」ですが、主(あるじ)の訴えは薬から離れたものである事が多くみられます。主(あるじ)の訴えを尊重し通っていただくと、病院でない「場」の大切さがご本人にもご家族の方にも理解していただけます。「主(あるじ)の訴え」は飲ませる側にいるお母様(ご家族の方)にとっても大切である事は言うまでもありません。

「主(あるじ)の訴え」を病院でない所へ継続する事は「主たる訴え」の解決だけでなくご本人の成長に大きな役割を果たします。そして主訴が解決した後も、何かまた主(あるじ)の訴えが立ち現れた時、それが5年後でも10年後でも同じ電話番号に同じ担当者が電話口に出る事の安心感を提供できるのがさとう成育心理面接室です。

佐藤 栄一  <経歴>

心身障害者福祉センター・児童相談所判定課非常勤を経て、旧国立療養所足利病院小児科心理療法士として20余年勤務。その後、国立小児病院心療内科へ転勤の後、国立成育医療センターこころの診療部心理療法士として開設当初から8年間勤務。2010年退職し、4月さとう成育心理面接室を開きました。成育医療センターへは臨床研究員として医療の勉強を継続していきます。

【所属学会】

佐藤 栄一

さとう成育心理面接室
東京都文京区千駄木 【千代田線千駄木駅】
Tel:03-5832-9717

Eメール:sodan@e-satoh.com